「リスク回避指数」
「リスク回避指数」とは
株式市場のリスクオン/リスクオフ状態を捉える
株式相場がファンダメンタルズで説明がつかないところまで上昇する時を「リスクオン」、逆に相場がファンダメンタルズで説明がつかないほど大幅に下落する時を「リスクオフ」の状態にあると言います。
「リスクオン」、「リスクオフ」という言い方は耳に馴染みやすいためか、ついそのまま聞き流してしまい勝ちですが、極めて重要な相場局面であるにも関わらずそれが実際にどのような内容なのか明確に示されることがありませんでした。
当サイトはこの問題を以下のように2つのステップに分けて対処することで「リスクオン」と「リスクオフ」の状況を数値的に求めます。
◎相場とファンダメンタルズとのかい離:市場リスク=>日経平均と「理論株価」との差
ファンダメンタルズとは妥当なあるいは正当な株式相場の裏付けとなる“基本条件”を指します。当サイトではファンダメンタルズに基づく日経平均の水準を「理論株価」として求めています。したがって、実際の株式相場とファンダメンタルズとのかい離は日経平均と理論株価との差として捉えることができます。
また、この株式相場とファンダメンタルズとのかい離をもたらす要素を「市場リスク」と一括して捉えることができます。すなわち、市場リスクは日経平均と理論株価の差として具体的に示すことができます。
◎“大幅なかい離”=>「偏差値」の点数で評価
株式相場はファンダメンタルズを中心に変動を繰り返しており、かい離は常に生じているわけですが、ここではこのかい離が通常とは言えない程の“大幅なかい離”であることを明確にしなければなりません。そこで、この“大幅”の基準として「偏差値」を用います。
「偏差値」は大学入学の難易度などでよく使われますが、実体は統計学に基づいた分布の状態を折り込むことで分かり易く整理した(規準化した)順位を示す指標です。
具体的には全体の平均を50点、対象の平均バラツキ(“標準偏差”)を10点として個々の対象の位置を点数に置き換えることで、各対象が全体の中でどのような位置にあるかを直観的に分かるようにします。偏差値に変換することによって各対象を以下のように領域分けすることができます。
・40点~60点(標準変動領域):全体の約68%がこの範囲に入る。通常の平均的な領域にあると評価できる。
・30点~70点(標準的な領域とは言えない領域を識別):全体の約95%がこの範囲に入る。したがって、この範囲を上側あるいは下側に外れる確率はそれぞれ2.5%(100人のうち2.5人)となり、通常の範囲とは言えない領域にあると評価できる。
・20点~80点(異常な変動領域を識別):全体の99.7%がこの範囲に入る。したがって、この範囲を上側または下側に外れる確率はそれぞれ0.15%(1,000人のうち1.5人)になり、極端に通常と離れた領域にあると評価できる。
◎「リスク回避指数」=>「リスクオン」、「リスクオフ」状態を規定する指標
上記の市場リスク(日経平均と理論株価との差)をこの偏差値に適用して点数化することで市場の「リスクオン」あるいは「リスクオフ」を判断する指標が得られます。この指標は市場リスクを規準化した指数という意味で「市場リスク規準指数」とも呼ぶべきですが、ここではより直観的に分かりやすい名前として「リスク回避指数」と称することとします。
偏差値の性質から、「リスク回避指数」が70点以上となる場合は通常の市場リスクの領域から上側に外れた(リスクが高まった)といことで「リスクオフ」、30点以下を同様に下側に外れた(リスクが低まった)ということで「リスクオン」とします。
さらに、80点を超える場合は完全な過熱状態、20点未満は完全な下げ過ぎ状態ということで、それぞれ「極端なリスクオン」、「極端なリスクオフ」と呼ぶこととします
なお、標準状態からリスクオンの間を「リスクオンの予備状態」、リスクオフの間を「リスクオフの予備状態」とします。
以下はこうした「リスク回避指数」による市場の状態を一覧にまとめた表です。
「リスク回避指数」が示す市場の状態
以上の表から投資のスタンスは以下のようにまとめることが出ます。
・標準状態(緑色の領域):静観。
・リスクオン/リスクオフの予備状態(青色の領域):出動警戒体勢。
・リスクオン/リスクオフ(黄色の領域):出動体勢。
・極端なリスクオン/リスクオフ(赤色の領域):臨戦体勢。
「リスク回避指数」によって相場変動の裏にある市場リスクの実体を捉えることで、より適正な相場判断につなげていただければ幸いです。よろしくご利用ください。