ポートフォリオ戦略実践講座:「前回講座(基準相場にサヤ寄せする日経平均)を検証:相場は下落リスクも」  (2025/03/10公開)

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   ー 前回講座(基準相場にサヤ寄せする日経平均)を検証:相場は下落リスクも -

 今回は前回講座における日経平均と基準相場との検証をベースにその後の業績の動向を踏まえて先行きの相場展開を掘り下げます。
 すなわち、昨年は荒っぽい変動が目立った日経平均が今年に入ってファンダメンタルズを表す「基準相場」に接近することで相場の形成構造が安定に向かっていることを示す中、日経平均がファンダメンタルズに沿うことでファンダメンタルズを形成する最も基本的な要素である企業業績の動きが相場変動のカギを握ることになります。そして、足許で業績は過去最高値圏を維持しつつも頭打ちから弱含みに転向していることで今後の相場展開に注視が肝要としました。

 下図は前回の日経平均と基準相場の2月末までのグラフを3月7日まで延長したグラフです。

               日経平均と基準相場の推移(日次)
              ―2024年1月4日~2025年3月7日―

   

 青線が日経平均、赤線が「基準相場」です。期初の2024年1月4 日と直近の2025年3月7日そして日経平均の最高値と急落後の底値について日経平均と基準相場の値を記しています。
 今年の2月半ばから基準相場が下落模様を辿る中、日経平均は2月28日に急落しそれまで続いていた基準相場との1,000~2,000円程度のかい離が一気に解消しました。この日経平均の急落については、相場はいずれファンダメンタルズに戻るという市場の自己調整力が働いたと見ることができますが、それが何故この時点で生じたのかその根拠となる背景を探ります。

 日経平均が急落した基本的な原因は基準相場(ファンダメンタルズ)が下げ足を速めたことで市場のそれまでの(相場がファンダメンタルズを上回る)楽観的性向が弱まったためと見ることができます。そして基準相場が下落した構造上の仕組みとしては為替相場におけるドル安の進展、および企業業績の低下となりますが、ドル安の傾向は以前から続いている現象であることからこの急落は企業業績見通しの悪化が主因みられます。そこで、企業業績と基準相場との関係を見てみましょう。
 下図は基準相場と日経平均に即した企業業績を示す指標として採用した「日経平均ベースの予想1株当たり利益(予想EPS)」の推移を示すグラフです。

         基準相場と予想1株当たり利益(予想EPS)の推移(日次)
            ―2024年1月4日~2025年3月7日―

   

 青線が基準相場で左目盛り、赤線が予想EPSで右目盛りです。期初と直近の両指標の値と、基準相場と予想EPSの高値の日付と値、および、ご参考までに例外的な動きを見せた予想EPSの安値について日付と値を記しています。
 図から、2024年11月以降は両者の連動性が高まっており、為替の影響は相対的に低下したことが分かります。予想ESが2024年5月に急落したのは2024年3月期の業績予想が不安定に変動したためでこれは直後に修正されています。むしろ不安定さが目立つのは今年の2月からの急上昇とその反動のように下落した局面です。基準相場もそれに反応して同様の動きを見せていますが、より敏感に反応したのが実際の相場である日経平均です。
 こうした基準相場と日経平均との関係を明示的に示すのが「リスク回避指数」です。下図は同指数の推移を示すグラフです。
(*)同指数についてはこちらをご参照ください。

                「リスク回避指数」の推移(日次)
               ―2024年1月4日~2025年3月7日―
  
   

 各種の横線はそれぞれ当指数の水準による相場の状況を示します。状況の内容は前回講座を参照していただければと思います。
 ここでは一番外側の赤線がそれぞれ相場の行き過ぎ状況、すなわち、楽観のし過ぎで反落の可能性が高いオンリスクの領域と悲観のし過ぎで反転上昇の可能性が高いオフリスクの領域、そして45点から55点の間であれば相場はファンダメンタルズに近い状況で安定しており静観できる状況であることを記すに止めます。

 足許の相場状況は市場の相場形成構造的には安定しており、静観すべき状況であることになります。
 しかし、上述の企業業績の動向から基準相場(ファンダメンタルズ)自体が下落する動きがあり、市場の相場形成構造が健全なまま、相場は下落するリスクもあると考えられます。



*株式相場を構成する根っこにある動きを読み解くための各種の「基準相場」と「リスク回避指数」等の指標は、当講座の『相場の実相』で毎日無料で公開しています。お気軽にご参照ください。



*当講座についてのご意見、ご質問等ございましたら以下までご一報いただければ幸いです。
higurashi@iisbcam.co.jp




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当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。
当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません。


講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。

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IIS
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