F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景:「後発組のシンボルストック:三井不動産」を公開しました。  (2021/11/03公開)

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<『応用編・講座』>
「応用編・講座」の「F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景」で新講座を公開しました。

ー 後発組のシンボルストック:三井不動産 -

 株価の出遅れ感が著しい銘柄として三井不動産を取り上げます。マンション、戸建ての個人向け販売を含めて不動産開発の総合デベロッパーとして位置付けられております。
 当社の株価は2020年春先のコロナショックで急落しますが、その後の市場全体の回復過程では市場平均に著しく後れをとっております。回復過程で主役を務めた外国人投資家はニューヨーク市場との比較から東京市場での物色対象として、いつも以上にハイテク銘柄に注力した感があります。
 それだけに国内セクターの出遅れ感がより強くなっているようです。ここでは、2016年末を起点とした三か月ごとの株価を出遅れ感を実感するために、市場平均の日経平均、ハイテクイメージの強い日立と並べて比較しております。

      三井不動産、日立、日経平均の3か月ごと株価の推移(2016年12月=1)
               -2016年12月~2021年9月ー

   

 2021年3月期、当社は減益決算です。しかし、ハイテク関連銘柄を含めて減益決算の会社は珍しくありません。それを前提とした外国人投資家は、その減益幅がどの程度縮小するのか、或いはその減益後の翌期には増益が期待できるという想定で銘柄物色を進めたようです。
 4月以降は、ワクチン接種率の向上と並行してコロナ禍後の業績回復銘柄に物色が始まりました。コロナ禍でもっともダメージを受けたと言われる個人消費関連銘柄についてもその回復への期待が高まり、六カ月~九カ月後の動きを先取りする形で株価への期待が集まり始めました。
 これまでに当講座で紹介しましたJR東、ANA,サンリオ等はまさにこの流れに乗った銘柄と言えます。三井不動産はこの流れに乗れておりません。前述した銘柄はフローでとらえる個人消費関連銘柄と言えますが、当社はマンション、戸建ての個人向け販売がビジネスに組み込まれたストック型の個人消費ということで、業績への反映は時間がかかるとされたのでしょうか。
 ともかく株価の動きが注目されないままであり、結果的に市場平均にずいぶん後れを取っていることになります。以下は2015年3月期以降の業績(1株当たり利益)と配当、1株当たり純資産の実数値の一覧です。

   三井不動産の1株当たり利益(EPS)、配当と1株当たり純資産(BPS)の実数値一覧
               ー2015年3月期~2022年3月期ー

     


 EPSとBPSは持続的に成長してきましたが、2021年3月期がコロナ禍でやはり減益を余儀なくされています。これは一過性のもので、今期以降、回復傾向をたどる可能性が高いと言えそうです。配当水準の維持は会社の自信の表れとみることも出来そうです。
 足元の株価の位置はBPSレベルですが、BPSレベルはこのコロナ禍において信頼し得る下値レベルであることを東京市場は多くの銘柄で実証してきました。所謂コツコツと確実に階段を上るような動きが今後期待できる銘柄と思われます。



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三井不動産の株価と1株当たり純資産を併せた時系列グラフを含めた詳しい分析は本講座をご覧下さい。

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講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。

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