F.マネージャーの視点/市場の切り口:「投資家別保有比率の変遷の背後を探る」を公開しました。  (2021/10/31公開)

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<『応用編・講座』>
「F.マネージャーの視点/市場の切り口」で新講座を公開しました。

ー 投資家別保有比率の変遷の背後を探る -

 下の図をご覧ください。東証一部の主体別投資家の株式保有比率の変遷をバブル崩壊以前の1985年から直近の2020年まで示したグラフです。

             主体別投資家の株式保有比率の推移
                ー1985年~2020年ー

   


 各投資主体の投資スタンスの特徴は以下のようにまとめられます。
         
〇外国人投資家・・投資期間の短期化、絶対リターン派の台頭
 外国人投資家の保有比率はバブル崩壊が始まった1990年ごろから、多少の調整があるものの、ほぼ一貫して上昇しています。アベノミックス相場の頂点では最高31.7%まで上昇しました。この時期は世界の株式市場でヘッジファンドが急成長した時期でもあります。2000年頃から2013年までの間、世界のヘッジファンドの運用資産はおよそ5倍の金額になりました。
 外国人投資家の運用の最大の特徴は、絶対リターン、短期間の運用(通常は一年)とされます。また、金融先物等と現物と絡ませながら運用するのが特徴の一つとされ、短期間における市場の振幅を積極的に利用する運用が特徴と言えます。外国人投資家による積極参加は市場全体の売買回転数の増加にも多いに寄与したようです。

〇事業法人・・・押し目買いの主役、利回り指向を意識した配当戦略
 1990年から2000年の間の10%近い減少は政策的持ち株の解消の動きです。その動きは現在も進行しているのですが、20%近辺で止まっています。そこはM&Aを遂行するための財務戦略上の自社株買いです。合併,吸収の対象会社と株式の等価交換のための自社株を市場から調達するものです。
 このことから株価の押し目を支える効果があると言われています。必然的に利回り面での投資魅力を作り出す効果にも寄与することになります。

〇信託銀行・・株価の高速回転を助長、大底介入の意識(日銀勘定)
 大雑把に三種類の資金が含まれております。注目資金は投資信託です。その急増が目立ちますが、増加の背景にはETF投信が大きく寄与しているようです。日経平均といった株式指標、そのものを売買の対象とするもので個別銘柄選択は必要ありません。
 さらに上昇下落率の倍率を上げるように仕組み、短期の市場の振幅から利益を挙げるように設計された商品もあり個人投資家のファンが増加しているようです。必然的に高速回転ファンドとなるようです。

〇個人投資家・・・押し目買い徹底、長期じっくり保有と超短期投資に二分化
 個人の現物投資家の押し目買いのスタンスは市場の調整局面で全面的に出現します。とりわけ外国人投資家による調整局面の積極的な売りを底値で拾う能力に長けているようです。ここ、20年の動きの中から買いのタイミングの教訓を学んだようです。

 市場の動きの背後には各主体別投資家のそれぞれの動きの内容変化が大いにあると推察されます。20年前と比較し特に大きく変化している点をまとめます。内容的に今後も継続です。

①投資期間の短期化
②事業会社の株価への戦略的取り組み
③日本人投資家の外国人投資家を意識した押し目買い行動


本講座の詳しい内容は本講座をご覧下さい。


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【1】当サイト、『資産運用のブティック街』の特長をこちらのユーチューブで分かり易く解説しております。当講座と併せてご一読いただければと思います。

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「投資の王道」の第一歩は、理論に基づいた”正当な相場感”を身につけることです。揺るぎのない相場感に基づく投資の地力向上にお役立てていただければ幸いです。


講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。

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