<応用編・講座>
「ポートフォリオ戦略実践講座」で新講座を公開しました。
ー ファンダメンタルズが穏やかに推移する中、相場は静かに推移しそう -
株式相場は日経平均が本年2月に3万467円の高値をつけた後弱含みに推移し、直近の8月31日では2万8,089円と2,300円余りの調整となりました。
一方でファンダメンタルズを表す理論株価が本年5月に2022年3月期の大幅な増益予想を映して急騰したことで株式相場の状勢は様変わり、年初の相場の過熱状態はすっかり解消した形です。
下図は日経平均と理論株価、そして理論株価の主要な決定要素である日経平均ベースの予想1株当たり利益(予想EPS)について、コロナ・ショック前の2020年初から直近の2021年8月末までの推移を示したグラフです。
日経平均、理論株価と予想EPSの推移(日次終値)
―2020年1月6日~2021年8月31日―
紺色の線が日経平均、青線が理論株価でどちらも左目盛、赤線が予想EPSで右目盛です。日経平均の2020年3月の急落と2021年2月の高値、および予想EPSがシフトアップした5月をマークしています。日経平均が予想EPSの急上昇後に水平状態を維持する理論株価にサヤ寄せする形となっています。
こうした株式相場とファンダメンタルズの関係を日経平均と理論株価のかい離で示したのが以下のグラフです。
日経平均と理論株価のかい離(日次終値)
―2020年1月6日~2021年8月31日―
かい離は日経平均の底値時がマイナス6,000円台、高値時がプラスの6,000円台と裏腹の関係で、コロナ・ショックで行き過ぎた悲観を楽観の行き過ぎでちょうど取り戻した形です。こうした両極端に振れた悲観と楽観が正常状態に戻ったのが現在と見ることが出来ます。
このような市場の相場感、あるいは気分によって相場が極端に振れる状況(リスクオンあるいはリスクオフと言われる状況)を具体的な数値で表す指標が「リスク回避指数」です。
コロナ・ショックによる急落時には市場は極端なリスクオフ領域まで入り、その後の修正局面を経てリスク中立に留まることはなく、一気に今年2月には極端なリスクオンの領域に達しています。
その後、業績の大幅改善を折り込むことでほぼリスク中立の状態である48点台に至ったのが現状です。
足元で業績、為替相場といったファンダメンタルズが安定している穏やかな状態が続けば市場のリスク評価が中立であることから相場は安定感を強め静かに推移すると言えそうです。
*当コラムは「応用編・講座」の抄訳です。「リスク回避指数」の実数値など詳しい相場解説は本講座をご覧下さい。
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講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。
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IIS
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