<『応用編・講座』>
「応用編・講座」の「F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景」で新講座を公開しました。
ー 三菱ケミカルに見る事業法人の投資スタンスと自社株価 -
*ここでは前回「市場の切り口講座」の「信託銀行(日本銀行)と事業法人の投資行動」を受けて、事業法人の三菱ケミカル(4188)を取り上げて具体的な自社株買いの実態、背景を見ます。
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2014年ころから事業法人の買い越し額が年間1兆円を上回っており、特に近年急増しています。2020年はコロナ禍でその動きは静かになったようですが、中期的にみても事業法人のM&A戦略がとん挫することはまずあり得ません。
事業法人が株式を積極的に買うようになった理由としてM&Aを意識した経営戦略の一つであることは前回講座で触れましたが、既存の株主側の立場から見る別の意味もあります。
自社株買いはそれだけで株主価値の増大につながるのです。購入した株式を消却すれば発行済み株式数の減少、つまり分母の減少によってEPS(一株当たりの利益)の増加要因となり、理論上、株主価値を高めることになるからです。
三菱ケミカルはこれまで多くの関連企業を束ねてきており、文字通り三菱グループの総合化学会社として、2018年3月期までの数年、急速に業績を伸ばしてきましたが、2019年、2020年と踊り場的になりました。さらに2021年3月期はコロナ禍によって利益が急激しましたが、下期を通過する中で若干回復の動きが出てきており、2022年3月には回復軌道がより明確になる年となりそうです。
以下は、2009年2月から直近の2021年3月まで当社の月次株価と1株当たり純資産(BPS)の推移を示すグラフと2012年3月期から2022年3月期までのEPS、配当、BPSの実数値(2022年3月期のEPSと配当は予想)の一覧表です。
三菱ケミカルの月末株価と1株当たり純資産(BPS)の推移
ー2009年12月~2021年3月ー
三菱ケミカルのEPS、配当、BPS
ー2012年3月期~2022年3月期ー
2016年から利回りの面から注目され始めました。利益の好調を背景に、積極的に増配をすることによって利回り株としての存在価値を高めてきたのです。さらにBPSが株価の下値を支える重要な要素であったことがわかります。利益の伸びと並行してBPSも順調に伸びてきました。
こうした利回りとBPSによって下値を支えられながら、2018年にEPSの急増が株価を押し上げました。
コロナ禍で落ち込んだ株価は、現在すでに底打ちから反謄の段階に入り、BPSレベルまで来ています。2022年3月期の利益の伸長、さらに増配期待による利回りの向上への期待が膨らむことになるでしょう。
詳しい内容は本講座をご覧下さい。
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講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。
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