<『応用編・講座』>
「F.マネージャーの視点/市場の切り口」で新講座を公開しました。
ー 信託銀行(日本銀行)と事業法人の投資行動 -
市場を支える信託銀行勘定
ここでは信託銀行勘定に注目します。その理由は、日銀の売り買いが信託銀行勘定に反映されるからです。信託銀行は日本銀行が株主となった投資先企業の株主名簿管理人となります。
信託銀行は当然ながら日銀の売り買いだけが反映されるわけではありませんが、日銀はスケールが大きくその動きが特徴的です。これまで調整期に市場を支える目的で積極的に参加した痕跡も窺えます。下の図は2017年から直近までの日経平均の動きとその間の信託銀行勘定の売り買いを月次ベース見たグラフです。
日経平均の月末値の推移
ー2017年1月~2021年2月ー
信託銀行の月間売買代金(億円)
ー2017年1月~2021年2月ー
この4年間の間、月間5000億円以上の買い越しを記録した月は3回、上記グラフの丸印で囲った月です。2018年12月の5976億円、2020年の3月、7432億円と4月6859億円です。いずれも日経平均が2万円を割り込んだ時で、日経平均2万円割れが出動の目安とも言われておりましたが、それを証明しているような動きです。
買い方として目立ち始めた事業法人
かって事業法人の買いはビジネスの関係を強化するための相互持合いといった面が強かったのですが、現在その様相は変化してきました。それは自社株式取得です。下図は注目度の高い外国人投資家、信託銀行に併せて事業法人の買い越し額を2017年~2020年で見たグラフです。(単位:億円)
事業法人、外国人投資家、信託銀行の年間買い越し額の推移(億円)
ー2017年~2020年ー
この4年間で事業法人は9兆2643億円の買い越し、外国人投資家は9兆8283億円の売り越し、信託銀行は1兆4284億円の買い越しです。
事業法人は本来的に株式の供給側ですが、最近では経営戦略の一環として自社株買いが組み込まれるようになりました。M&Aにおいて株式の等価交換手法が定着したことによります。この4年間の事業法人の買い越し金額は、外国人投資家の売り越し金額にほぼ匹敵する額となっています。
そうした動きが株価形成の面からも注意を払う状況が生まれてきたのです。自社株買いのしやすい状況を判断して行動を起こす、地味に押し目を買う動きにつながるようです。
また配当(利回りに配慮)政策にも大きな影響を与えることになります。利回りを目的とする投資家は買いどころの株価水準に達すると買いに入ることで株価形成されることになるのです。M&Aを目的とした事業法人の株式購入は2020年はコロナ禍によりやや退いた格好になりましたが、時代的要請は根強く、景気の回復と伴に復活するとみてよいでしょう。
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講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。
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