<応用編・講座>
「ポートフォリオ戦略実践講座」で新講座を公開しました。
ー 先走りの行き過ぎ感がぬぐえない株式相場:理論的(統計的)に検証 -
業績回復の道筋がはっきりしない中、日経平均はここにきて一段とシフトアップしています。2020年10月末の2万2977円が直近の12月18日では2万6763円となっています。
今回はこの株式相場が過熱状態にあるのか、あるいは妥当な範囲に収まっているのか、理論的(統計的)に検証しました。
株価を決める最大の要因は企業の業績ですが、当講座ではこの関係を日経平均に当てはめ、業績を日経平均ベースの予想1株当たり当期利益(以下予想EPS)、その他の金融、海外情勢をひとまとめに為替の動向、具体的には米ドルレートで捉えることで理論的に正当な背景に基づくとみなせる日経平均を推計し、”理論株価”と称して妥当な相場水準を判断する指標としています。
具体的には以下の式によって決定しています。
理論株価=―3、832+70.78*【予想EPS】+106.67*【米ドルレート】
*理論株価について詳しくはこちらをご参照ください。
下図は今年初から直近の12月18日までの日経平均と上記の理論株価の動きを日次終値ベースで示したグラフです。
日経平均と理論株価の推移(日次終値)
―2020年1月6日~2020年12月18日―
紺色の線が日経平均、赤線が理論株価を示します。各指標名の枠内は直近の12月18日の値です。ご参考として年初のそれぞれの値を別の枠で示しています。
年初時点では両者の差は約千円、5%程度でしたが、3月に日経平均、5月に理論株価がそれぞれコロナ・ショックによる急落に遭遇、その後別々の回復軌道を辿った結果、直近時点では約1万円、61%ものかい離に拡がっています。
日経平均と理論株価の大きなかい離はリーマン・ショック時にもありましたが、今回は一定の期間後にかい離が再拡大した点が異なります。
こうした状況を鑑みて近時に株価にプラスになり得る要因を探ったところ、企業の根源的な価値を示す純資産(自己資本)の著増に行き当たりました。これが投資の安心感につながり上値に進む力になり得ると考えられます。そこで、従来の理論株価の説明要因に日経平均ベースの1株当たり純資産(以下BPS)を加えた新しい相場の説明式を考え、これを相場の実勢に寄り添うことを第一目的とした指標ということで“基準相場”と呼ぶこととします。
基準相場の決定式は以下の通りです。
基準相場=―6,699+37.49*【予想EPS】+126.45*【米ドルレート】+3.381*【BPS】
*当式の推計期間は近時の相場状況をより的確に反映させるために直近時点まで伸ばし2002年5月から2020年11月を対象としています。
下図は日経平均、理論株価と上の式で得られた基準相場を併せて示したグラフです。
日経平均、理論株価と基準相場の推移(月次終値)
―2002年5月~2020年12月(2020年12月は18日終値)-
紺色の線が日経平均、赤線が理論株価、緑線が基準相場です。直近の2020年12月18日の各指標の値を枠内にまとめています。
全体として見ると今回のコロナ・ショックまでは3つの指標は良く連動しており、株式相場は理論的に妥当な水準で推移して来たと言えます。
ところが今回のコロナ・ショックを境に日経平均と理論株価は上下、それぞれ逆方向に進み、基準相場は 両者の中間の位置を保っています。
以下のグラフはこうした3者の違いを細かく見るために2020年初から直近までの3者の動きを日次ベースで示したものです。
日経平均、理論株価と基準相場の推移(日次終値)
―2020年1月6日~2020年12月18日-
結論的に言うと日経平均は足元で理論株価に対しては上記のように61%のかい離、基準相場に対しても30%近いかい離になっています。これは相場の通常の環境からは説明できる範囲を超えており、足元の株式相場は先行きの環境改善を折り込んでいるにしても行き過ぎ感は否めない状況と言えます。
詳しい内容は本講座をご覧下さい。
*ご注意:本講座は会員向けの「応用編・講座」に収録されます。ご覧になるためには会員登録が必要となりますが、会員登録した当月中は無料で全ての情報、機能をご利用いただけます。お気軽にお試しください。(退会の手続きはトップページの「退会手続き」の窓から行えます)。
講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。
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IIS
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