F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景:「進む外国人投資家の銘柄選択の深化:例えばキッコーマンでは?」を公開しました。  (2020/10/08公開)

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<『応用編・講座』>
「応用編・講座」の「F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景」で新講座を公開しました。

ー 進む外国人投資家の銘柄選択の深化:例えばキッコーマンでは? -

 今から20年前の2000年頃から東京市場における外国人投資家の役割が飛躍的に増大、株価形成をリードするようになってきました。2000年の外国人投資家の東証一部上場会社の発行済み株式数に占める保有割合は20%弱、年間回転率が2倍程度なので日々の売買代金の約40%を占める最大の投資家となっています。2014年には31.7%でピークをつけ、その後じわじわと減少し現在は28%程度となっています。この時間的経過を通じて認識すべきことは日本株に対する習熟度の上達、深化です。
 銘柄選択の深化という現象は定量的に説明できるものではありませんが、その動きを垣間見ることはできます。

 3月にコロナショックが世界中の株式市場を襲いました。東京市場は一カ月に32兆7000億円の売りを浴びましたが一方で30兆8000億円の買いを入れているのです。記録上は差し引き1兆9000億円の売り越しとなりますが、この30兆8000億円の買いがどの銘柄に向かったのか非常に興味のあるところです。
 積極的に買いに回った外国人投資家も相当いることになります。この種の投資家はショッピング・メニューを常に持ち、買いの好機あらばいつでも出動できる状態にある、つまり習熟度の高い投資家です。

 ショッピング・メニューに組み込まれていると思われる銘柄を紹介しましょう。紹介するキッコーマンは所謂、日本食の代表選手に近いイメージをもって外国人投資家に受け入れられている企業です。すでに現在の売り上げ、利益とも国内より海外が半分以上を占める内容となっています。

 下の図はリーマン・ショック後の2009年3月から直近の2020年9月までのキッコーマンの株価と理論的な下値と言える1株当たり純資産(BPS)の推移を一つにまとめたグラフです。

            キッコーマンの株価と1株当たり純資産(BPS)の推移
                  ー2009年3月~2020年9月ー

   

 株価の軌跡に注目です。アベノミクス相場の流れに乗ってそれまでBPSが「1」の限界的な安値水準であった株価が大きく動きました。2018年の末には6860円の史上最高値をつけました。
 この間、ハイテク銘柄のような大きな振れがないのが特徴です。最大の要因は1株当たり純利益の安定成長です。さすがにコロナ暴落に遭遇すると投げ売りの対象とされ急落しましたが、その後、下げを押し目買いのチャンスと見た外国人投資家の買いが入り元気よく戻しました。
 かってのようにBPSが1のレベルで落ち着く株ではなくなっています。業績の安定度を評価、”日本の食文化“を象徴する銘柄として、地味ながらも人気を継続してきた銘柄です。今期はコロナ問題もあり減益予想ですが、日本ルーツの醤油メーカーの代表選手として人気は持続しているのです。



*EPS,BPSの実数値の推移を含め、より詳しい内容は本講座をご覧下さい。

*ご注意:本講座は会員向けの「応用編・講座」に収録されます。ご覧になるためには会員登録が必要となりますが、会員登録した当月中は無料で全ての情報、機能をご利用いただけます。お気軽にお試しください。(退会の手続きはトップページの「退会手続き」の窓から行えます)。

講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。

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