<応用編・講座>
「ポートフォリオ戦略実践講座」で新講座を公開しました。
ー 業績見通しの改善で異常事態から正常に向かう株式相場、持続性は? -
<概要>
株式相場は3月半ばに底を打った後、業績見通しの極端な悲観が是正されるのを受け足元で堅調な上げ足を見せています。しかし、この上昇傾向が続くと見るのは難しそうです。データに基づいて解説します。
株式相場は3月半ばにセリングクライマックスの様相を呈して底を打った後、回復過程を辿り足元ではむしろ上昇局面の力強さも感じられます。
リーマン・ショック後の2009年から直近までの12年間にわたる日経平均と理論株価の動向を見ると、この3月以降の株式市場の状況が異常な事態であることが分かります。
日経平均と理論株価のかい離が3月と5月のわずか2か月の間にリーマン・ショック以降のマイナスとプラスの最大を同時に記録したことが市場の混乱状態を示します。マイナスの最大が3月19日のー21%、プラスの最大が5月18日の64%です。
こうした市場の混乱は業績見通しの乱高下によってもたらされたものであることを、プラスの最大かい離(株式相場がファンダメンタルズを上回る)を記録した5月18日から直近の5月28日までの10日間で劇的に縮小した局面で示します。
下図は理論株価の説明要素である業績見通しとしての日経平均ベースの予想EPSと為替市場の代表である米ドルレートの推移を今年初から直近の5月28日まで日次ベースで示すグラフです。
予想EPSと米ドルレートの推移(日次ベース)
─2020.1.6~2020.5.28─
赤線が予想EPS(左目盛)、青線が米ドルレート(右目盛)で、それぞれの指標名の枠内は直近の値と今年初以来の高値、安値を日付と共に記しています。
予想EPSが4月以降に急低下しているのは、4月に入りコロナ禍による業績悪化を反映した今期の業績予想を折り込み始めたことにより、足元で急反発したのは緊急事態宣言が解除されるとの報道で極端な悲観が改善に向かったことによります。これは急上昇の起点となった5月21日が緊急事態宣言が25日にも解除されるという報道がなされた22日の前日であったことで示されます。5月21日から直近の5月28日までの1週間で予想EPSは70%上昇し、株式市場は正常化に向かったと言えます。
では、この上昇傾向はこのまま続くのかというと、“なかなか難しい”と言わざるを得ません。理論株価と日経平均のかい離は縮まっているものの、水準自体は依然として高く、相場はかなり割高(*)の位置にあることが示されているからです。
相場上昇が本格化するには今回の理論株価の乱高下の原因がコロナ禍の影響の評価に基づく業績見通しの乱暴な動きによるものですから、今後、コロナ禍の影響に対する見方落ち落ち着き、その上でもう一段の業績改善を軸としたファンダメンタルズの向上が必要と言えます。
(*)相場の割高感については当サイトの「相場の実相を見る」(無料)コーナーで公開している「リスク回避指数」をご参照ください。
日経平均と理論株価の推移グラフを含めた、より詳しい内容は本講座をご覧下さい。
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講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。
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IIS
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