ポートフォリオ戦略実践講座:「相場はファンダメンタルズと市場リスクがクロスする中で正常水準へ」を公開しました。  (2019/11/27公開)

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<『サイト学習コース』>
「投資の地力養成講座」の「ポートフォリオ戦略実践講座」
で新講座を公開しました。

ー 相場はファンダメンタルズと市場リスクがクロスする中で正常水準へ −

 株式相場は昨年末の急落から本年に入り回復軌道を辿りましたが11月半ばから停滞模様となりました。ただ、これは今期中間決算の発表が出そろった結果、通期の業績予想が下振れしたためで、いわばファンダメンタルズの悪化に即した正当な調整と言えます。
 下図はこうした株式相場とファンダメンタルズとの関係を2018年3月期から2020年3月期まで過去3期について見るために、日経平均とファンダメンタルズに基づく日経平均の妥当な水準を表す「理論株価」、および過去の変動実績を基に割り出した日経平均の変動の上限と下限2017年5月から直近の2019年11月22日までの推移を示した4グラフです。

      日経平均、理論株価と変動の上限、下限(日次)
            ―2017.5.1~2019.11.22―

日暮戦略201911AA

 紺色の線が日経平均、赤線が理論株価、茶色の線が変動の上限、緑線が下限を示します。各指標について期初の2017年5月1日と終期の2019年11月22日の値を記しています。
 日経平均は2018年末の急落を経て2019年10月まで一貫して理論株価を下回っていますが、これは市場が急落の記憶によってファンダメンタルズが堅調に推移していても疑心暗鬼から抜けられない状態が続いたためと言えます。
 こうした弱気心理がやっと吹っ切れたように相場は10月半ばに上昇に転じた一方、11月に入ったところで上述の業績予想の下振れによって理論株価は下落したため、日経平均と理論株価はきれいな逆転交差現象を起こしました。相場は意に反してファンダメンタルズを超える領域に取り残されてしまった形です。

 こうしたちぐはぐな現象の背景には市場リスクの急激な変化があります。上図で示されるように理論株価、すなわちファンダメンタルズの安定した動きに対して日経平均が荒っぽい変動を繰り返しているのは市場リスクが大きく変動しているためです。
 株式相場は基本的に長期的にはファンダメンタルズに見合う水準に落ち着きます。これは上の図で日経平均が理論株価を挟んで上下に変動しても、やがては理論株価に収れんすることで示されます。
 しかし、時に相場がファンダメンタルズでは説明できない程大幅にかい離することがあります。相場が極端にファンダメンタルズを上回る場合は投資家がこぞって強気になりリスクを取りにいく(株式を買う)状態ということで「リスクオン」、逆に投資家がそろって弱気になってリスクを回避する、つまりリスク資産から逃避する(株式を売る)場合は相場は極端にファンダメンタルズを下回り、これを「リスクオフ」と言います。
 市場リスクはこうした相場の重要な局面を決定する要素であるにも関わらず、これまで市場リスクの大きさについて明確に捉える手立てがなかったことから、当講座では市場リスクを数値的に示す「リスク回避指数」(*)を開発、公表しています。
 下図は上図と同期間についてリスク回避指数の推移を示すグラフです。ここでも指標名の枠内に期初と直近期の値を載せています。

           リスク回避指数の推移(日次)
            ―2017.5.1~2019.11.22―

日暮戦略201911CC

 上図から市場リスクの水準は期初と期末でちょうど同様の水準となっていますが、この間の市場リスクの変動は非常に大きく、2018年1月には20点台の「極端なリスクオン」の状態に接近し日経平均は変動の上限を超えています。一方、同年12月には80点の「極端なリスクオフ」を超える領域に達しここでは日経平均は変動の下限を下回っています。ちなみにこの時の同指数の水準は過去にない初めてのレベルとなります。
 市場リスクは2019年に入り徐々に低下し10月に通常リスクの範囲に戻った後そのまま一気に通常リスクの下端となる40点近辺にまで達しました。この水準であれば通常のリスク状態に収まります。
 市場リスクが通常状態にあれば株式相場はファンダメンタルズに沿った水準に落ち着くものと見られます。すなわち、日経平均は理論株価に貯回水準で落ち着くものと見られます。直近の理論株価は2万2,200円台となっています。

*「リスク回避指数」50点を中立リスクとして、40点から60点の間であれば通常のリスク状態、70点以上であれば「リスクオフ」30点以下であれば「リスクオン」の状態にあるとします。詳しい内容については以下までお問い合わせください。
<info@iisbcam.co.jp>

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お問い合わせは以下までお願いいたします。
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