理論株価と市場リスクで読む相場の実勢:「理論株価を直近までのデータを基に再推計しました。」  (2018/07/11公開)

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『 理論株価と市場リスクで読む相場の実勢』コーナー
理論株価を直近までのデータを基に再推計しました。

 この度、直近の2018年6月までの業績、為替の状況を折り込んで理論株価を再推計しました。
 新たに推計された日経平均の理論値、すなわち理論株価の決定式は以下の通りです。

日経平均の理論値(理論株価)=-3926+75.6*【予想EPS】+103.8*【米ドルレート】

 また、再推計後の理論値は日経平均との連動性が高まり、日経平均の変動を説明する説明力は89%となっています。
 下図は日経平均と再推計した理論株価の推移を併せて示したグラフです。

              日経平均と理論株価の推移(月次終値)
                    ー2002.5~2018.6-

再推計C


 再推計の詳細につきましては当サイトの「理論株価とは」をご参照ください。

 なお、今回の再推計については、「ファンダメンタルズに見合う日経平均の理論値を計測 ~行き過ぎた株式相場を捉え投資の機会につなぐ~」と題してプレスリリースを配信しました。
 同リリースの中で、理論株価の実際の利用例として、昨年9月から今年7月6日までの変動相場を対象に理論株価とそれ仁基づく変動の境界をベースに行う相場状況の評価を紹取り上げ示しています。その内容を以下、原文でご紹介します。


== 理論株価に基づく相場判断の実際 ==

【日経平均の理論値による相場評価の実際】
 下の図は理論値と日経平均について、今期の相場変動が始まった2017年の9月から直近の7月6日まで日次ベースの推移を示したグラフです。
 青線が日経平均、紫線が理論値を示し、緑線は理論値からのかい離が通常の変動範囲に収まる境界を、赤線は通常の変動範囲の限界を超える、すなわち、相場反転の可能性が高まる境界を示します。ここで、かい離の程度は統計学で用いる変動の度合いを示す代表的な指標である“標準偏差”によって求めます。

 この間、日経平均は大きな変動を繰り返していますが理論値を中心とした動きになっており、理論値からのかい離が十分大きくなると日経平均は理論値に戻る傾向が確認されます。
 日経平均が通常変動の境界である緑線を超えるのは2017年12月で、そこからさらに騰勢を強めて2018年1月には変動範囲の限界である赤線を超えています。すなわち、相場が反転する確度が高まり、結果的に23日にピークを付けた後急落して再び緑線の通常の変動範囲に戻っています。

         日経平均、理論値と相場評価の境界(日次終値)
                -2017.9.1~2018.7.6-

プレス第2回B

 こうした変動の境界と日経平均の関係は過去の相場変動においても示されていることから、理論値とのかい離を基に相場の状況は静観、要注意、警戒(臨戦態勢)の3つに分けることができそうです。

1.静観 :相場はファンダメンタルズからのかい離が小さく、喫緊の投資出動につながらない状況。
2.要注意:静観の状況は超えるものの、相場の反転機には至らず投資出動に備えて準備をする状況。
3.警戒 :要注意の状況を超えて相場反転の可能性が高まり、投資出動の臨戦態勢を整える状況。

 上の図中の【A】~【D】はこの間の相場状況をこれらの分類に当てはめて示したものです。

【A】(2017年9月1日~2017年11月1日):静観領域
日経平均はファンダメンタルズに見合う相場である理論値から通常の変動範囲の境界まで一気に上昇。上昇速度は極めて早いものの相場は静観領域にあり投資出動の準備には及ばない。
【B】(2017年11月2日~2017年12月29日):要注意領域
日経平均は通常変動の上側に沿って推移した後変動の上限である警戒領域に向かって再上昇。相場の上昇エネルギーが最初のカベで一服した後復活した形。投資出動の準備をする領域。
【C】(2018年1月4日~2018年2月2日):警戒領域
日経平均は相場反転の可能性が強い警戒領域内で推移。相場反転に備えて臨戦態勢を整える領域。結果的に1月23日を天井に相場は反転して急落局面に入る。
【D】(2018年2月5日~2018年7月6日)静観領域
日経平均は反落して警戒領域を下離れした後、要注意領域を素通りして通常変動の下側まで一気に下落、そこで下げ止まり、以降、直近日まで静観領域の範囲で推移。

(*)理論株価、通常変動の上側と下側、その他の相場判断のための指標は当サイトの「理論株価で測る相場の位置づけ」の会員限定版で毎日更新、公開しています。会員登録した当月は会費はかかりません。お気軽にお試しください。

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