株式相場は無数とも言える様々な要因で変動します。
しかし、相場の動きをできるだけ正確に捉えようとこれら様々な要因をあれもこれも考慮して相場変動を説明しようとすると、かえって目移りして本筋を見失うことになります。
そこで、相場に影響を与える最も基本的な要因、すなわち業績を要として相場を説明することを考えます。
下図は日経平均と日経平均ベースの予想1株当たり利益(*)の推移を2002年5月から2017年6月について月次終値ベースで示したものです。予想1株当り利益は以下、予想EPSとします。
推計期間における日経平均と予想1株当り利益(予想EPS)(月末値)
―2002.5~2017.6―
日経平均は青線で左目盛、予想EPSは赤線、右目盛で示しています。
全体としてみると予想EPSは日経平均とよく連動しており、業績が日経平均の有力な説明要因であることが分かります。
しかし、2008年9月のリーマン・ショック以降、2012年11月の衆議院解散までの期間は業績が回復しているにも関わらず日経平均は低迷を続け両者は大きくかい離、予想EPSの相場説明力は低下しています。
ここで、この時期の両者のかい離を埋めるのが為替の動きです。
下図は日経平均と米ドルレートの動きを上と同じ期間について示したものです。
この構造から衆議院の解散以降のアベノミクスの急騰をみると、一気に進んだ円安を背景に金融相場の面からの上昇に加え、それまで息をひそめていた業績相場が更なる業績改善期待によって重なり、両者が相まって力強い上昇につながったことになります。
日経平均の理論値=―3861+75.0*【予想EPS】+103.6*【米ドルレート】
当式にそれぞれの時点の予想EPSと米ドルレートをセットするとその時点の日経平均の理論値、すなわち理論株価が求まります。
下図は上述の推計期間について得た理論株価と日経平均を併せて示したものです。
予想EPSと米ドルレートが日経平均の動きを追えないところを互いに補う合う形で、全ての期間について理論株価は日経平均とよく連動していることが分かります。
日経平均ベースの予想EPSは次の株価収益率(PER)の定義式をもとに、以下のように求めます。
PER=株価/1株当たり利益(EPS)
ここで、株価に日経平均、PERに日経平均の予想PERを当てはめれば、以下のように日経平均の予想EPSが求まります。
日経平均の予想EPS=日経平均/日経平均の予想PER
ただし、日経平均は権利落ちによる株価の変動分を“除数”という係数によって修正していますので、逆に除数の逆数に相当する“倍率”で割り戻すことによって日経平均の予想EPSを求めることができます。
これらの関係から結果として以下の式で日経平均ベースの予想EPSが求まります。
日経平均の予想EPS=日経平均/日経平均の予想PER/倍率
例えば2017年6月30日の日経平均は2万99円81銭、予想PERは14.38、倍率は8.555でしたのでこれらを当てはめると予想EPSは以下のように163円39銭として求まります。
予想EPS=20、099.81円/14.38/8.555=163.39円
*日経平均の予想PERと倍率は日本経済新聞に毎日掲載されます。
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