ポートフォリオ戦略実践講座:「ファンダメンタルズは急回復後に安定、続くかい離は日経平均2万6千円への引力?」を公開しました。  (2021/06/23公開)

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<応用編・講座>
「ポートフォリオ戦略実践講座」
で新講座を公開しました。

ー ファンダメンタルズは急回復後に安定、続くかい離は日経平均2万6千円への引力? -

 今期(2022年3月期)の業績予想が史上最高値を更新する中で今年4月以降にこの好調な業績を折り込むことでファンダメンタルズを映す理論株価は急上昇、その後5月半ばから高値安定期に移行しています。
 一方、日経平均も不安定な動きを見せながらも5月以降は比較的落ち着いた動きを続けていることで、5月半ばからは日経平均と理論株価は3千円程度(以下に見るように日経平均の2万9千円程度に対して理論株価の2万6千円程度)の格差を維持しつつ推移しています。
 それなりに安定した状況とも見られますが、相場とファンダメンタルズはいずれ一致するという経験則に従えば、この3千円のかい離がどのような形で解消されるかが気にかかるところです。

 そこで、比較的相場が安定していた2018年から直近までの相場の動きを日次ベースで細かく見ることで今後の相場展開を検討する材料にしたいと思います。
 下の図は2018年初から直近の2021年6月18日まで日経平均と理論株価の日次終値の推移を示したグラフです。

             日経平均と理論株価の推移(日次終値)
             ー2018年1月4日~2021年6月18日ー

   

 紺色の線が日経平均、赤線が理論株価です。
 グラフからコロナ・ショックによる2020年3月19日の日経平均の急落、そして業績不安が一気に噴出した形で急落した5月19日の理論株価の動きが目立ちますが、日経平均と理論株価のかい離の面では、昨年末からの日経平均の急騰の過程でつけた2021年1月14日の1万1,900円余りが最大となります。
 直近の6月18日に目を移すと、日経平均の2万8,964円に対し理論株価が2万5,915円と差は3,048円となっており、日経平均と理論株価のかい離、すなわち相場とファンダメンタルズとのかい離が大きな変動を経て3,000円台まで縮まってきたことで相場は正常化に向かっていることが想像出来ます。
 しかし、投資の現場ではこうした感覚ではなく、より明確に市場の正常化を捉えることが求められます。
 そこで、当サイトは市場が正常な相場形成の状態にあるかどうかを数値で評価する指標を「リスク回避指数」(以下「指数」)として計測、提供しています。
 市場が正常な状態ではない状況は、(1)市場が強気一辺倒に走って客観的な環境条件では説明できない水準まで相場を買い上げる「リスクオン」と、(2)市場がそろって弱気になり一斉に売ることで相場が低すぎる状態になる「リスクオフ」ーーの2通りあり、「指数」はこうした状況を示します。
 下の図は上図と同じ時期について「指数」の推移を示したグラフです。

              リスク回避指数の推移(日次終値)
             ー2018年1月4日~2021年6月18日ー

   

 「指数」は40点から60点の間にあれば相場は通常の変動領域で、この範囲であれば相場はファンダメンタルズの影響下にあるとして安定感があるものと評価できます。30点以下がリスクオンの領域、70点以上がリスクオフの領域になります。
 図から「指数」は5月半ばから40点を超え直近の6月18日では46点台となっており、市場は正常な状況にあると言えます。
 今後も世界的なカネ余りを背景に相場が急落、急騰する不安定な局面はあると思われますが、市場は正常、すなわちファンダメンタルズにつながった裏付けのある状況にあるということで相場形成の構造自体は信頼できると言えます。
 ただ、私見ではやはりファンダメンタルズとの3千円の格差は相場への無言の圧力になることは否めず、日経平均2万6千円への引力が気になるところではあります。


*本欄は本講座の内容をポイントに絞ってかいつまんで紹介するものです。詳しい内容は本講座をご覧下さい。

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講師:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。2004年~2006年武蔵大学非常勤講師。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を駆使した客観的な投資判断のための分析を得意とする。

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IIS
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