F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景:「株主優待は理外の理」を公開しました。  (2020/08/06公開)

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<『応用編・講座』>
「応用編・講座」の「F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景」で新講座を公開しました。

ー 株主優待は理外の理 -

 今回は日本固有の株主対策である”株主優待”に焦点を当て、その元祖的な存在である「カゴメ(2811)」を取り上げます。
 2000年以降、外国人投資家が株価形成の主導権を持つようになり、東京市場は文字通り国際化した資本市場となっておりますが、日本固有の考え方が株価形成に大きく影響していると思われる銘柄もあります。
 その一つが株主優待です。当初は株主の保有に対する謝意を表すといった程度であったようですが、株価形成に影響を与えていることも事実です。株主優待の人気御三家はカゴメ、オリエンタルランド、日本マクドナルドといわれています。それぞれ自社ギフトの提供、ディズニーランドへの招待、店頭で使える優待食事券と内容は異なりますが、いずれも個人が身近にそのメリットが感じられるものとなっています。

 ここでは御三家のうちカゴメを取り上げます。株主優待のきっかけはおそらく株主に年2回提供される自社製品の積み合わせセットです。現在、多くの上場会社が取り入れている株主に直接自社製品詰合わせセットを提供することの草分けと言えます。
 これが好評で個人株主の増大が実現し、さらに、自社のトマト工場見学等などの株主への働きかけを積極的に展開、カゴメファンを増やしてきました。この取り組みが功を奏し、現在個人株主の割合が日本のNO1会社となったようです。この種の株主の最大の特徴は一度株主になると長期に保有する可能性が極めて高いということです。
 また、個人株主となった場合、スーパーでの買い物時、同種類製品が並ぶ場合、カゴメ製品をより前向きに選好するとの報告もあります。平たく言えば、同じ陳列棚にあればデルモンテよりカゴメを選ぶという事です。
 その内容はある程度の経済価値を持ったものですが、これら銘柄の株価はその水準をはるかに超える株価となっています。

 下の図は2012年12月から2020年6月までのカゴメの3か月ごとの株価と当該決算期の1株当たり純資産(BPS)の推移を併せて一覧できるようにまとめたグラフです。


          カゴメの3か月ごと株価と1株当たり純資産(BPS)の推移
                ー2012年12月~2020年6月ー

      




 株価は下値の境界と言われるBPSの水準を継続して大幅に上回り安定した株価推移の中で、2017年の年末に4000円を超える高値を付けました。それから2018年、2019年とだらだらと売られ、2020年のコロナショックでは外国人投資家とみられる投げ売りで一瞬2000円を切るところまで急落しました。
 そこからの回復は目立つものがあります。コツコツと個人投資家と見られる買いが入り1カ月で3000円を回復しました。
 コロナの影響で今期の業績は法人向けが多少弱く減益予想ですが、それを理由に株価が軟化したら買いのチャンスかもしれません。実際、購入してみないと実感がわからない銘柄でもあります。押し目買い銘柄です。



カゴメの利益、配当、BPSの実数値一覧、また優待御三家の株価比較チャートなど詳しい解説は本講座をご覧下さい。


*ご注意:本講座は会員向けの「応用編・講座」に収録されます。ご覧になるためには会員登録が必要となりますが、会員登録した当月中は無料で全ての情報、機能をご利用いただけます。お気軽にお試しください。(退会の手続きはトップページの「退会手続き」の窓から行えます)。



講師:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」など。

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